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すばらしき独立時計師たちの世界

第4回 木目金の地金作りに必要な繊細な感覚と強靭な肉体

 

木目金の文字盤にドラゴンやユニコーンなどの彫金装飾(エングレービング)を施す、キース・エンゲルバーツの作品はしばしば時計誌などで紹介されています。彼の作品は、厚さわずか1ミリ程度の文字盤にエングレーブしたとは思えないほど立体的で、生き生きと躍動感にあふれているのが最大の特徴です。エングレービングは時計の装飾技法として古くから用いられていますが、木目金という日本古来の伝統技法を応用して成功を収めているのは、おそらく彼だけでしょう。

<木目金とは、金、銀、銅など色の異なった金属を重ね合わせて地金を作り、そこに彫金を施す技法のことで、江戸時代に完成されたといわれています。金属を何層にも重ねることによって、また彫りの深さなどによって、彫金面には不思議な模様が現れてきます。それが木目に似ていることから、木目金と名付けられたのでしょうが、刀のつばなどが江戸時代の作品として残っているように、日本では彫金技術を競い合うよりも、木目金の自然の風合いを楽しむような技法だったように思われます。

オランダ出身のキース・エンゲルバーツは、母国の彫金学校で木目金を学び、スイスへ移ってエングレーバーとして活躍を始めてから、本格的に取り組んだということです。今ではスイス時計界に欠かせないエングレーバーのひとりとして、著名な時計メーカーからのオーダーをこなしながら、オリジナル作品の製作にも力を入れています。


彼は毎年、大阪の旭時計店のイベントに招かれるなどして来日しており、会場でエングレービングの腕前を披露しています。雑誌でも紹介されたりしていますから、ここではエングレービングに関してでなく、木目金の地金作りを紹介したいと思います。


話はやや脇にそれますが、私がまだ子供だった昭和30年代後半から40年代初め頃の、東京の下町には家族だけで営む町工場がたくさんありました。キースのアトリエで行われる地金作りからは、そんな風景を思い出させるような、熟練の職人ならではの鋭敏で繊細な感覚が隠された手作りの温もりが伝わってきます。


なお、この原稿は今月中にオープン予定の私のホームページ(www.soubunsha.jp)にも掲載します。そちらのほうもよろしくお願いいたします。

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木目金の素材は6〜7ミリ角程度の細長い棒状になっている。それを3〜4センチくらいの長さに切り、重ね合わせた金属がさらに薄くなる方向に延ばしてゆく。初めはハンマーで叩くが、これは圧力を加えていく方向がわかるように、金属棒を変形させる作業だ。

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金属棒状の木目金は、そのままの状態で圧力を加えて延ばしてゆくと割れてしまう。そこで金属棒を灼熱状態になるまでバーナーで熱してゆく。その過程で、溶融点の低い金属が溶剤のようになって、金属同士の結合を強めるという働きも促進しているようだ。

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加熱した金属棒状の木目金を圧延するための機械。電気洗濯機が登場した頃には、こんな感じの、ローラーで洗濯物を絞る装置が付いていた。木目金の圧延も同じ原理で行っている。もちろん動かすのはキース自身であり、モーターなどの力を使ったりはしない。

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圧延機に木目金を挟んで延ばしているところ。私もやってみたが、キースと同じローラーの間隔では、体重をかけて回そうとしてもハンドルはピクリとも動かない。私が回せる程度の圧力で地金を作ろうとすると、キースの何倍もの時間がかかるに違いない。

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2・3・4の作業を繰り返してゆくと、木目金が文字盤に使う地金の形になってくる。側面を見ると、木目金が何層もの縞模様になっているのがわかる。これを最終的には1ミリ程度まで薄く延ばすのだが、すると金属は複雑に重なり合い不思議な模様を作ってゆく。

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延ばし終えた木目金は腕時計のケースに合わせて切り取る。センターには針を取り付ける軸を通すための穴を開ける。このようにして文字盤の地金として整えられたあと、表面に付着した煤などの汚れを取り除き、そこにエングレービングを施してゆく。

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エングレーブ装飾を施したムーヴメントを、その元となった木目金を切り取った地金のなかにはめ込んでみたところ。こうして見ると、地金と装飾に使われた部分との関係がよくわかる。また、装飾に使った部分は表面に磨きをかけるなどして仕上げを施している。

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エングレービングを行うデスク。手前は助手であり弟子でもある、ロシア出身のタチアナさんのデスク。その奥がキースのデスク。いろいろな道具が「散乱」していて、お世辞にも整理整頓が行き届いているとは言い難いが、職人の仕事場は、得てしてこんなものだ。

撮影/嶋田敦之

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